介護保険負担限度額認定証ってなんですか?
特養などの利用料金を減らすことができます。
なに、その制度…
介護保険負担限度額認定証は老人ホームの費用が安くなるので、経済負担を抑えることができます。
しかし世帯の収入状況などによって使えなかったり、制度の存在を知らずに高く料金を払い続けている人もいます。
介護保険負担限度額認定証を損をせずに使えるように、現役ケアマネの筆者が以下のことを解説します。
- 介護保険負担限度額認定証の使い方
- 申請手続き
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介護保険負担限度額認定証を使えば費用が安くなる?
母の年金は月に5万円ぐらい、父も早く亡くし貯金もあまりありません…
特養などの老人ホームに入所すると介護サービス費の他にも食費代や居住費なども合算して10万円以上の費用が必要です。
しかしこれでは年金収入が少ない人は、介護が必要であっても入所ができません。
そこで介護保険負担限度額認定証を使えば、施設に支払う費用を安く抑えることができて、年金の範囲内で無理なく支払うようになれるでしょう。
介護保険負担限度額認定証とは
- 低所得の人でも施設利用ができることが目的
- 食費と居住費は所得に応じて決められた負担限度額までを自己負担する
- 基準費用との差額は介護保険より給付されるので自己負担分が安く抑えることができる
負担段階と負担限度額
配偶者も市町村民税非課税であり、預貯金が単身で1,000万円、夫婦で2,000万円以下をベースに以下である必要があります。
ちなみに第1段階は生活保護受給者です。
第1~3段階に当てはまらない人は、世帯に現役なみの所得収入者がいるため、非該当となり基準費用額を支払うことになります。
介護保険負担限度額認定証が使える場所
- 特別養護老人ホーム
- 老人保健施設
- 介護医療院
- 地域密着型特別養護老人ホーム
- 上記施設で行われるショートステイ
よくある質問
グループホームや有料老人ホームでは介護保険負担限度額認定証は使えないのですか?
残念ながら使えません。
だから特養は料金が安いと言われて人気があるんですね。
ちなみにデイサービスが特養の中にあっても、デイサービスでは使えません。
この制度を使ったら施設の収入が減るので、食事の質も落ちるの?
差額分は保険者(市町村)が支払うので施設は損しない仕組みとなっています。
手続きも簡単
自分がどの負担段階にいるか分からない場合は、保険者(市町村)に必要書類を持って手続きにいけば、該当・非該当をすぐに教えてくれます。
申請手続きに必要なもの
- 介護保険負担限度額認定申請書
- 同意書
- 認印
- 本人および配偶者の預貯金等の写し(直近2カ月分)
預貯金等とは
預貯金等に含まれるもの | 確認方法 |
---|---|
預貯金(普通・定期) | 通帳・証書の写し(インターネットバンクであれば口座残高の写し) ※通帳は年金が振込されるものだけではなく、すべて必要となります。 |
有価証券(株式・国債・地方債・社債など) | 証券会社や銀行の口座残高の写し (ウェブサイトの写しも可) |
金・銀(積立購入を含む)など、購入先の口座残高によって時価評価額が容易に把握できる貴金属 | 購入先の口座残高の写し(ウェブサイトの写しも可) |
投資信託 | 銀行・信託銀行・証券会社等の口座残高の写し(ウェブサイトの写しも可) |
タンス預金(現金) | 自己申告 |
負債(借入金・住宅ローンなど) | 借用証書などの写し |
とにかく収入があるものはすべて提出してくださいってことです。
預貯金の調査
同意書にて預貯金を調査されるかもしれません。
同意書の文面は、必要に合わせて銀行などに嘘の報告をしていないか確認してもよいかの同意書となっています。
申請者について
本人の申請が望ましいのですが、介護状態で手続きに行けない場合が多いです。
その場合は家族や身内の人に代理申請を行ってもらいましょう。
身内でない場合は委任状が必要かもしれませんので、各保険者(市町村)に問い合わせてください。
申請が降りるまでの期間
おおよそ2~3日で発行されて郵送されます。
保険者(市町村)によってはその場ですぐに発行されることもあるようですが、どちらにしろ手元に届くまでそんなに時間はかかりません。
交付後の手順
既に入所やショートステイを利用している場合は、各施設に提出してください。
特に手続き後の初回利用時は早めに施設に提出しないと、計算が間に合わず償還払いになるかもしれないので注意!
介護保険負担限度額認定証の有効期限
有効期限は毎年7月31日までとなっています。
6月頃から更新手続きが可能になり、手続き後8月中旬頃に再交付されます。
更新手続きに必要なものは初回と同様です。
介護保険負担限度額認定証が間に合わない
急な入所やショートステイなどで、初回は利用日までに負担限度額認定証が間に合わないことがあるかもしれません。
申請月の初日まで遡って(さかのぼって)発行してもらえるので、利用月の月末までには必ず申請に行くようにしておきましょう。
申請主義の事情
この手続きは申請主義なので、広報誌などに記載はあっても、保険者(市役所)が個別に申請をススメてくれることはありません。
施設入所の場合は施設ケアマネが申請を勧めてくれる可能性が高いのですが、居宅ケアマネは制度を教えてくれないかもしれません。
理由として以下の通り
- ケアマネの知識不足
- 世帯や収入状況をケアマネが把握していない
- 貯金残高まで確認することに違和感を感じるケアマネの葛藤感もしくわ正義感
ショートステイでも負担限度額証は使えます。
もしかしてケアマネが負担限度額認定証のことを教えてくれないかもしれませんので、ショート利用する方は要注意しておいてください。
介護保険負担割合証との違い
よく似た名前で介護保険負担割合証というものがあります。
どちらも有効期間は8月~翌年7月まで(初回は認定日~7月まで)となっており、名前も似ているので間違いやすいです。
介護保険負担割合証は介護認定を受けていたら自動で交付されます。
この時期に介護認定の更新申請も行っている人は、更に必要書類が必要になりますので、混乱しないように注意ください。
まとめ
介護保険負担限度額認定証を使えれば、特養などの利用料金をかなり抑えることができて、負担のない範囲で生活を送ることができます。
特養などに入所が決まる前でも申請はできますので、どの段階に自分がいるのかを確認すれば、老人ホーム選びの検討材料になるでしょう。