90代の母が入所できる老人施設あるかな?
たくさんありますが、心配なことでも??
認知症があるんですよ…。
どの老人施設にも認知症高齢者は必ずと言っていいほど入所されています。
しかしその老人施設が認知症高齢者にとって最適な施設であるのかと言うと、必ずしもそうではありません。
それには設備的な問題、スタッフの人数、なにより老人施設の種類が関係します。
この記事では現役ケアマネージャーの筆者が以下のことを解説します。
- 老人施設を探すタイミングと探し方
- 認知症の人が入所できる老人施設の種類と特徴
- 入所後の認知症にまつわる心配
※当サイトは、アフィリエイトプログラムに参加しています。記事内容は公平さを心がけています。
認知症に対応してくれる老人施設の探し方
- 専門家に相談する
- 自分で老人ホームを探す
どちらにしろ、老人ホームに見学に行って決めるのだから、どっちのやり方でも大丈夫です。
専門家に相談しなくても自分で探すことは充分できます。
詳しくはこちらからどうぞ。
老人ホームに入居したい。相談~入居までの手順をケアマネが解説。
90代認知症でも入所できる老人ホームの施設とは
数ある老人施設の種類の中でも、これらの老人施設は認知症高齢者にとっても生活しやすい施設だと言えます。
- グループホーム
- 特別養護老人ホーム
- 介護付き有料老人ホーム
グループホーム
グループホームは(介護予防)認知症対応型共同生活介護とも呼ばれています。
名前の通り、認知症の高齢者が共同生活する住居で、日常生活上の世話や機能訓練などの介護サービスを受けることができます。
- 認知症はあっても比較的に体は元気に動く
- 70~80代など、まだ年齢的に若い
このような場合はグループホームが一番よいでしょう。
グループホームの特徴
- 入所定員が9名まで
- 家庭的な生活
炊事や洗濯など家庭での生活の延長をスタッフと一緒に行い、家庭的な環境で生活を行うことができます。
入所定員が少ないため入所者一人一人にしっかり目が届きやすいのが特徴です。
これは入所定員が多い大規模施設では真似できない介護スタイルと言えます。
又、認知症専門の老人施設であるため、スタッフも認知症ケアに特化した教育を受けています。
一方で最高定員が9名という少なさ。
グループホームの数も地域に少ないため入所できる人が少ないというデメリットもあります。
また、看護師の配置義務はないため、医療管理が必要となったり、介護度が重度になれば退去せざるを得ないときもあります。
もちろん、看護師を配置しているグループホームは多数ありますが、重度化や終の棲家という視点では他の老人施設と比べると劣る面があります。
入所条件
- 65歳以上
- 要支援2~要介護5の認定を受けている人
- 認知症の診断を受けている人
- グループホームと同じ市町村内に住所がある人
名前の通り、認知症専門の老人施設であるため、医師より「認知症」と書いてもらった診断書を提出しないと入所することができません。
グループホームは地域密着型サービスという分類に入り、市町村外の住民は利用できないということは覚えておきましょう。
特別養護老人ホーム
- 認知症をもっている
- 認知症以外にも身体面での介護も多い
- 近い将来、認知症以外にも身体面での介護も多くなる
このような場合は特別養護老人ホームが一番よいでしょう。
特別養護老人ホームの入所者の約98%は認知症をもっています。
だからと言って、グループホームのように認知症に特化した老人施設というわけではありません。
これは入所している方が重度(介護度が高い)のため、必然的に認知症や寝たきりの高齢者が多く、そのような数字になっていると考えられます。
特別養護老人ホームとは?他の施設との違いと入所するテクニック
入所条件
- 要介護3以上
要介護1~2の方でも認知症が重度であれば特例入所が認められることがありますがかなりレアケースです。
※そこまで重度であれば精神科病院へ入院か認定の見直しを行うことが一般的である
介護付き有料老人ホーム
- 認知症をもっている
- 認知症以外にも身体面での介護も多い
- 近い将来、認知症以外にも身体面での介護も多くなる
加えて
- 特別養護老人ホームにもグループホームにも今すぐに入所できない
このような場合は介護付き有料老人ホームが一番よいでしょう。
介護付き有料老人ホームもグループホームのように認知症に特化しているわけではありません。
施設の数も多い(入所定員も多い)ためグループホームや特別養護老人ホームより入所できる可能性は非常に高いです。
ただし金額が少し高いので他の施設が空くまでの目的で緊急的に一旦入所するというという手段もあります。
もちろん、認知症介護は充分期待できますので、そのまま入所し続けるのも大丈夫です。
入所条件
- 自立~要介護5で施設によりさまざま
老人施設を探すタイミング
- 今現在、家族が困っている
- 本人は困っていないと言っても、明らかに困っている状況
- 家族以外にも困らせている人がいる状況
上記の場合は今すぐに老人施設を探した方がよいでしょう。
「周りの目が…」という感情もあるかもしれませんが、介護は綺麗ごとではありません。
大きな事故が起きる前に、今すぐに老人施設を探してください!
その時点で入所はしなくても、「どうにもならない時は、あそこの施設に頼れるのだ!」という心の支えがあるだけでも介護は続けることができます。
老人施設に入所したら認知症が悪化する?
施設に入所したら認知症がひどくなる、寝たきりになりやすいと聞くが…
老人施設に入所したからと言って認知症が悪化するとは限りません。
認知症が悪化しないための老人施設の取り組み
質問の通り、せっかく老人施設に入所しても生命の安全にばかり重視して、本人の役割を取り上げてしまえば認知症は悪化することがあります。
具体的には
- 転ばせないために寝かせておく
- 外に出さない
- 全てスタッフがやってくれてTVを見るぐらいしかない
役割を取り上げられたら、当然本人は何もすることもなく、失望や自信喪失、認知症が悪化する可能性が高まります。
その悪化を緩和させる、もしくは現状の維持を目指すための体制を整えている代表的な老人施設がグループホームです。
具体的には
- 料理や洗濯をスタッフと一緒にする
- スタッフと一緒に散歩にいく
失敗することは前提のもとで、本人の役割を可能な限り引き出してもらえるため、認知症の悪化の予防に期待できます。
それでもひどく悪化するか、進行を緩和させられるかの結果論は誰にも分かりません。
認知症が悪化したときの対応
認知症が悪化して生活に支障が出始めても、すぐに退所させられることはないでしょう。
老人施設もできる限りの対応をされます。具体的には、
- 外への徘徊があれば玄関を施錠する
- レクレーションで気を紛らわせる
- 散歩やドライブなど
それでも集団生活に影響が出るようであれば、専門医に相談されることもあります。
- 薬を出してもらう
- 入院して薬を調整してもらい、落ち着いたら施設に戻ってもらう
この医療の領域は病院が決めることですが、すぐに退所扱いするのではなく、生活が継続できるように病院に相談するのはどこの老人施設も一緒です。
認知症以外の目線でも老人施設を探す
少し目線を変えて、3年後にその人の体がどの程度動いているかを想像してみましょう。
高齢者はどうしても体の機能は衰えていくので、身体面でも介護が必要になってきます。
- 車椅子を使っているかもしれない
- 寝たきりになっているかもしれない
- 糖尿病をもっていればインスリン管理をしているかも
このように認知症の人に限った話ではなく、老人施設を選ぶときは「今」だけでなく、3年先、5年先などの将来を見据えて考えていく必要があります。
グループホームは基本的には認知症であっても身体面での介護(体を抱えたり)は少ない人が入所する施設です。
この点に焦点を当てると、90代などの高齢になると近い将来に身体面での介護が必要になる気がしませんか?
特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホームは入院の必要性がない限り、介護の量が増えても入所を継続できます。
まとめ
どこの老人施設であっても認知症の方は入所しています。
受入れ施設も幅広くあるので、路頭に迷うことないでしょう。
その中でも「認知症」という症状だけを考えればグループホームが最適と言えます。
しかし、施設にも限りはあるし、年齢や介護量など将来のことも見越すと他の老人施設も視野に入れて検討する必要があります。
とにかく認知症で悩みがあるようなら、早めに老人施設を検索して、情報収集をすることをおススメします。