介護認定が3から4に上がった。
『以前と変わりないが、どう違う?』『施設に入所した方がいいのか?』『ショートステイは使える?』
何も変わった実感がないのに、介護度が上がると焦りますよね。
自分が思っている以上に、大変な状況であることを思い知らされる『要介護4』という数字。
この記事では居宅ケアマネである筆者が以下のことを解説します。
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介護認定4と3の違い
介護4と3の違いが分からない。
- 介護認定4と3のイメージ
- 3から4に上がれば、何が変わる?
こちらを解説していきます。
介護認定4と3のイメージ
私の経験上のイメージ図です。一概には言えませんが、大きくは違わないので参考になると思います。
区分 | 目安 |
介護認定4 | ベッド上で寝ている時間が多い。認知症でも徘徊などの問題行動も目立つ。意思疎通もほぼ取れなくなってきた。 |
介護認定3 | かなり車椅子を使っている割合が多くなってきた、もしくわ認知症がかなり進んでいる。一人で生活するのは難しいです。家族構成によっては施設入所を検討! |
どちらも介護量は多いのですが、明らかに介護4の方が「寝たきり感」が強く、介護は大変そうです。
では何故、「以前と変わらないのに3から4に上がった」と感じるのでしょう?
ぎりぎり4とか、ぎりぎり3とかの人もいるからです。
認定調査の結果は「要介護認定等基準時間」に充てられます。
- 要介護3は要介護認定等基準時間70分以上90分未満
- 要介護4は要介護認定等基準時間90分以上110分未満
ここでは計算方法は割愛しますが、90分未満であれば要介護3、91分であれば要介護4に該当します。
ぎりぎり境界線にいる人たちは、認定調査員の書き方次第では介護3・4のどっちが出てもおかしくない状態なのです。
介護認定4に上がるとどうなる?
- 介護サービスを多く使える
- 入所優先度が高くなる
- 利用料金が高くなる
介護認定が上がってもメリットばかりではありません。
人によってはデメリットになることもあります。
介護サービスを多く使える
こちらは介護認定と支給限度額の表です。
介護度によって1カ月に使える介護の費用がちがいます。
要介護状態区分 | 支給限度額 |
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
例えばデイサービスが1回10,000円(1割負担では1,000円)の場合は要介護4の人はほぼ毎日デイサービスにいけます。
要介護3は27回、要介護2は19回・・・
実際にはこんな単純計算ではありませんが、介護認定が上がるほど使える金額も大きくなり、使える介護サービスも多くなります。
入所優先度が高くなる
介護度が大きくなるほど特養の入所優先順位が上がります。
- 一人暮らしや高齢者世帯
- 介護度
- 認知症の有無
- 体調の安定 など
もちろん介護4より介護5が優先なのですが(笑)
そして民間の有料老人ホームでも入所判定会議で介護度が高い人から優先的に入所させる施設も多いのです。
施設側がお客を選べる立場であれば、介護度が高い人や長く入居してくれそうな人を選ぶことは自然の流れです。
利用料金が高くなる
- 利用料金が高くなる
- 経済的な負担が重くなる
介護度が上がっても、良いことばかりではありません。
施設でも在宅でも介護度が上がれば1回あたりの料金は高くなります。
介護4と介護1では介護量がまったく違うので、料金差があるのは当たり前の流れです。
ちなみに訪問看護や福祉用具貸与など一部のサービスは介護度に関係なく料金は一律もあります。
【介護認定4】施設入居が良いのか、在宅介護がよいのか
介護認定4にもなれば、さすがに施設入所なのだろうか・・・
確かに介護量は増えて大変だと思います。
しかし施設を選ぶのか在宅を選ぶのか、家族の考え方によるので正論はありません。
ただし参考にしてもらいたい基準として『家族の介護力』と『経済力』があります。
家族の介護力は?
ぶっちゃけ介護認定4で一人暮らしは難しいです。
介護認定4ともなれば介護に必要な時間はほぼ終日。
本人や家族がいくら在宅介護を望んだとしても、介護をする人間がいなければとても成り立ちません。
昼間は仕事だからデイサービスに・・・
なんてことを長く続けることは難しいことは経験スミではありませんか?
フリーに動ける家族がいないと介護4以上で在宅介護はかなり厳しいと言えます。
施設入居は高い?
在宅介護が難しいと分かりながらも施設に入所しないのは理由があります。
- 特養などの安い施設は空いていない
- 民間の有料老人ホームなどは高い
人生100年時代で、いつまで生きるか分かりません。
貯蓄を崩さずに、年金内で入れる施設を探すのは当然ですよね。
だから民間施設を視野に入れながらも、ギリギリまで在宅介護を選ぶ人が多いのです。
介護認定4のショートステイ
介護認定4のレベルで在宅介護を行うならショートステイは超有効な手段です。
上手くショートステイを使えば本人も家族も安楽な在宅生活を送ることができます。
ショートステイって何回くらい使える?
- 一般的に老健やユニット型であれば27~30回
- 従来型の特養であれば31日以上使える可能性が高い
加算の取得状況にもよりますが、一般的に従来型特養(昔ながらの建物の作り)が料金は安いので、利用できる回数も多いです。
どんな風にショートを使った方がよい?
定期的に組み込むことが一番使い勝手が良いのですが、裏技として長期ショートステイも紹介します。
定期的に組み込む
固定してショートステイを組むのは有効な手段です。
『家族も用事を組みやすい』『本人も生活スタイルが固定する』『施設側も定期的に会うので状態を把握しやすい』
- (例1)毎週末の土日にショートステイを使う
- (例2)第1、第3の水木金にショートステイを使う
急な用事が出来たときは、これ以外にもショートステイを追加する感じですね。
定期的にショートを使っていれば、急な追加にも対応してもらいやすいのはリアルな話です。
長期ショートステイ
本来、ショートステイは開始日と終了日を決めます。
ということはショートが終了したら家に帰らなければいけません。
そんなの当たり前でしょ。
でも家に帰っても生活できない、特養に入所もできない、そんな人っていますよね?
そういう人は終了日を決めずに特養の入所順番までショートを使う手段があります(長期ショートやロングショートと呼ばれる)。
ただし、長期ショートの枠も簡単に空きません。
通常のショートを使いながらタイミング良く空いたら、長期ショートに切り替える感じです。
まとめ
- 介護認定3と4を比べると、4の方が寝たきり感は強い。ただし、認定が上がっても状態が変わらないと感じることもある
- 施設入所と在宅介護を決める基準は、家族の介護力と経済力が基準となることが多い
- 介護認定4であればショートステイはかなり使える
在宅で介護4の方を介護している家族は大変なご苦労をされていると思います。
ショートステイや施設入所、頼れることは頼ってくださいね。