今度の認定で介護度が下がっては困る。
認定調査を上手に受けるコツを知りたい。
現在の介護認定の有効期間は最長4年ということを知っていますか?
もしも満足がいかない認定が下りてしまったら今後4年間の介護に影響がでます。
そのためには介護認定審査会で適切な介護認定を下してもらう必要があります。
その介護認定審査会の重要な審査判定材料となるのが認定調査です。
私は毎月2~3件の認定調査を行っている現役のケアマネです。
調査員の立場から認定調査を受けるコツを解説します。
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適切でない介護認定が下りたら?
現在の状態に適切な介護認定が下りる必要があります。
逆に適切でない介護認定が下りたら以下のことに困る場合があります。
認定が重すぎた場合
- 使える介護サービス量が増える
- 代わりにデイサービスなどは利用料金も高くなる
- よって経済的に負担が増える
認定が軽すぎた場合
- デイサービスなどは1回あたりの利用料金は安くなる
- 代わりに使える介護サービスの量が減る
特養申し込みの場合
- 介護3以上でないと入所権利すらない
- 介護度が重いほど入所優先順位が上がる
認定の重い、軽いは一長一短があります。
今現在の状態に見合った適切な介護認定を下してもらいましょう。
では適切な認定が下りるためにはどうすればよいかを考えていきます。
介護認定調査を上手に受けるコツ
- 1週間の様子を見ておく
- メモを取っておく
- 認定調査には必ず立ち合う
- 認定調査で伝える事
- 認定調査でやってはいけないこと
- 話をする場所を考慮
1週間の様子を見ておく
要介護4や5の人であれば介護量が多いので普段の状況をほぼ把握しているでしょう。
逆に介護度が軽いほど、介護者は本人のことをあまり把握していません。
元気であれば自分のことは自分でやるのだから当然です。
しかし実際はこんな状況なのかも…?
体を洗う動作はどうしていますか?
母は一人でお風呂に入っているので、自分で洗っていますよ。
背中が届かないので、洗っていないんだよね…。
「介護していない」と言われれば調査員はそれ以上のことは調査票に書けません。
そして立ち合い者も知らない情報は言えませんよね。
実際の調査で直近1週間での状況を確認されるため、1週間を目安に普段の状況を確認してきましょう。
調査の確認項目表を作成しましたので参考にしてください。
麻痺(5項目) | 拘縮(4項目) | 寝返り | 起き上がり | 座位保持 |
立位保持 | 歩行 | 立ち上がり | 片足立位 | 洗身 |
爪切り | 視力 | 聴力 | 移乗 | 移動 |
えん下 | 食事摂取 | 排尿 | 排便 | 口腔清潔 |
洗顔 | 整髪 | 上衣着脱 | ズボン着脱 | 外出頻度 |
意志伝達 | 日課の理解 | 生年月日を言える | 短期記憶 | 自分の名前を言える |
季節の理解 | 場所の理解 | 徘徊 | 外出して戻れない | 被害妄想 |
作話 | 感情不安定 | 昼夜逆転 | 同じ話をする | 大声を出す |
介護に抵抗 | 落ち着きない | 一人で出たがる | 収集癖 | 物を壊す |
ひどい物忘れ | 独り言独り笑い | 自分勝手に行動 | 話がまとまらない | 薬の管理 |
金銭管理 | 日常の意思決定 | 集団への不適応 | 買い物 | 簡単な調理 |
特別な医療(12項目) |
全部で74項目あります。
具体的な項目の内容は割愛しますが、分かる範囲で把握するようにしましょう。
メモを取っておく
「あれも言わなけば」「これも言わなければ」と思ってはいても緊張や興奮により忘れることがあります。
1週間の状況で気になる点は必ずメモを取っておき、言い忘れを防ぎましょう。
介護認定調査は立ち合う
歩く所を見せてください。
すたすたすた…
いつもフラフラ歩いてるやないかい。
なんで今日はそんなに歩けるんじゃ!
いざ認定調査が始まると本人はいつもと違う様子を見せることがあります。
これは認定調査の「あるある」です。
他人(認定調査員)に弱々しい所をみせたくない人間の心理でしょうか?
とは言え、調査員もおかしいとは思っているのです。
だけど、立ち合い者がいなければ普段の本当の様子を聞くこともできません。
必ず認定調査には家族などが立ち会うようにしましょう。
これは基本中の基本です!
では立ち会って何を伝えればよいでのしょうか?
介護認定調査で伝える事
- どのような状況で出来て、どのような状態で出来ないのか
- だからどのような介護を行っている
- 一日何回その場面があるのか
例えば「歩行」の項目は5mをどのようにして歩くかを確認します。
選択肢として
- つかまらないでできる
- 何かにつかまればできる
- できない
この機械的な選択肢の裏側には、人それぞれの介護状況があるはずです。
- 杖につかまればスタスタ歩ける
- 杖につかまって、息切れとフラフラしながらなんとか歩ける
同じ「何かにつかまる」という選択を選んだとしても、状況が全く違うことが分かりますか?
機械的な選択肢でひとくくりに出来ない裏の状況をしっかり伝えて、特記事項に書いてもらいましょう。
認定調査でやってはいけないこと
- 話を脱線させない
- 過大評価しない
調査では74項目の動作確認と聞き取りを行います。
長くても1時間程度で終わらせないと、調査の途中で高齢者は疲労で脱落することもあります。
話を脱線させない
トイレ動作はどうしていますか?
トイレは自分でいきますよ。
でもね、便秘傾向でいつも薬を飲んでいるの。
その病院でリハビリもやっているんだけど。
トイレ動作の確認がリハビリの話に脱線しました。
最終的に、
もう疲れたから横になっていいですか?
認定調査終了…ちーん…。
課題評価しない
過大に言いすぎると辻褄が合わないようになってきます。
又、主治医意見書とも整合性が取れずに、審査会で評価されない可能性もあります。
とにかくありのままの事実を漏れなく伝えることが大事です。
認定調査終了後に場所を変えて話す
おばあちゃんはボケています。
あれもこれも全くできていません。
グサっ⚡
真実と違うことを本人が言うことはよくあります。
だけど本人を目の前にして調査員に告げにくいですよね。
聞き取り調査終了後に、別部屋や外で話をするようにしましょう。
本人が不信に思うようであれば後日電話で伝えることも可能です。
恐らく調査員も分かってはいるのですが、家族からのアクションがなければ逆に失礼に値するので深堀りして聞くことができません。
介護認定調査以外で心がけておくこと
認定調査のコツとは少し違うのですが、こちらも知っておくだけで介護認定に影響するかもしれませんのでお伝えしておきます。
その認定調査員はどこの所属?
認定調査員の所属場所は主に3つのパターンがあります。
- 市町村
- 市町村が委託する認定調査専門の会社
- 市町村から委託された地域のケアマネ
市町村と調査専門の委託会社はハッキリ言って厳しいです。
認定調査を主な業務とする認定調査のプロです。
それに反して、地域のケアマネは本業がケアマネ業務であり、市町村から委託されて付き合い上、仕方なくやっている感じです。
何よりケアマネ業をやっているので、『この人が要支援が出ては困るだろう』などの情を持っています。
これ以上深堀りしたら怒られるから辞めておきますが、地域のケアマネが来てくれたらいいですね。
主治医へも状況を伝える
認定調査票と主治医意見書が介護認定審査会で合体して最終的な介護認定が下ります。
だから認定調査同様に主治医意見書も超重要書類です。
主治医意見書を書いてもらうときは必ず受診をして直近の様子を主治医に伝えましょう。
この方たちは主治医意見書に書ける情報が不足しています。
必ず受診するようにしてください。
まとめ
今後4年間の介護に大きく影響を与える認定調査。
適切な介護認定が下りないと、本人だけでなく家族の生活も大きく左右されます。
今困っていることをしっかり伝えて認定結果に反映させましょう。