母の病院の先生から介護保険をすすめられて、介護認定1になった。
退院後、一人暮らしができるのだろうか?
施設を探したほうがいいのかな?
こんにちは、主任ケアマネの麦マネです。
離れて暮らしていると、一人暮らしの両親が心配ですよね。
結論から言いますと、介護認定1なら一人暮らしはできます。
ほとんどの場合、介護サービスと周りの支えがあれば可能です。
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要支援・要介護とは?
介護の必要性は『 自立 』『 要支援1~2 』『 要介護1~5 』の8区分に分かれます。
『自立』はなんとなく分かるけど、要支援とか要介護がよく分からない。
厚生労働省では以下のように考えられています。
自立とは
「歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的動作を自分で行なうことが可能であり、かつ、薬の内服、電話の利用などの手段的日常生活動作を行なうことがある状態のこと」
分かりやすく言えば、介護はいらない、何でもできます。介護サービスを使う必要もない人のことです。
要支援とは
「日常生活上の基本的動作については、ほぼ自分で行なうことが可能であるが、日常生活動作の介助や現在の状態の防止により要介護状態となることの予防に資するよう手段的日常生活動作について何らかの支援を要する状態のこと」
分かりやすく言えば、日々の生活はほぼ自分でできます。だけど出来ないことを少し手伝ってもらえれば大丈夫。
具体的には食事は自分で食べれるけど、買い物や調理はお手伝いが必要。
『要支援1』と『要支援2』があり、2より1が自立(元気)しています。
要介護とは
「日常生活上の基本的動作についても、自分で行なうことが困難であり、何らかの介護を要する状態のこと」
分かりやすく言えば、歩行・食事・入浴・排泄などの人間が生きていく上で必要な動きの一部もしくわ全部に介助が必要な状態です。
具体的には寝たきりでトイレに行けないのでオムツ交換を行う。
要介護認定は1~5段階に分かれており、数字が大きいほど介護量が多いことを指します。
介護認定1はどんな状態?要支援1から要介護5までの判断基準
うちの母は介護認定1だった。
どんな基準なの?
要支援1 | 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要支援2要介護1 | 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護2 | 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護3 | 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態 |
厚生労働省では、直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連動作、機能訓練関連行為、医療関連行為で算出した介護にかかる基準時間を算定して、その時間に認知症加算を合算し、要支援1~要介護5を判断すると厚生労働省は言っています。
何いっているのか、さっぱり分かりません…。
お役所の言葉はむずかしいですね。
以下は要支援1~要介護5の状態です。経験上の感覚ですが、イメージとしてはこんな状態です。
要支援1
- 杖もいらないし、すたすた歩く
- 支障がない程度の物忘れ
要支援2
- 杖やシルバーカーがあれば安心
- 公共の交通機関をなんとか一人で利用できる
- 年相応の物忘れ
要介護1
- 杖やシルバーカーあれば安心
- 認知症があっても注意していれば生活はできる
要介護2
- 転倒することが多くなった
- 車いすが楽な場合もある
- 認知面ではかなりの注意が必要
- 一人暮らしはギリギリ状態
要介護3
- 車椅子を使っている割合が多い
- もしくわ認知症がかなり進んでいる
- 一人で生活するのは難しい
- 家族構成によっては施設入所を検討
要介護4
- ベッド上で寝ている時間が多い
- 認知症でも、徘徊などの問題行動も目立つ
- 意思疎通もほぼ取れなくなってきた
要介護5
- 2名体制で介助することも多い
- 意識障害があり、目をつぶっている
- 全てにおいて介助が必要
支給限度額と介護サービスの目安
介護サービスは無限に使えるわけではありません。
介護度によっては使えない介護サービスもあるし、上限額も決まっています。
特に区分支給限度額というイメージだけは持っておいた方がよいでしょう。
区分支給限度額
要支援1 | 5,032 |
要支援2 | 10,531 |
要介護1 | 16,765 |
要介護2 | 19,705 |
要介護3 | 27,048 |
要介護4 | 30,938 |
要介護5 | 36,217 |
これが1カ月に使える介護サービスの費用です。
この費用を超えたら、10割の自己負担となるので、この数字の中で収まるようにケアマネが調整しているのです。
例えばデイサービスが1回800円だとします。
利用回数が多すぎて、区分支給限度額を超えたら1回8000円になります。
介護サービスの目安
介護度によって使える介護サービス、使えないない介護サービスがありますので、以下の表にまとまめました。
介護サービス | 要支援1~2 | 要介護1~5 |
---|---|---|
通所介護(デイサービス) | 〇 | 〇 |
通所リハビリ(デイケア) | 〇 | 〇 |
訪問介護(ホームヘルプ) | 〇 | 〇 |
訪問入浴介護 | 〇 | 〇 |
訪問看護 | 〇 | 〇 |
訪問リハビリ | 〇 | 〇 |
居宅療養管理指導 | 〇 | 〇 |
短期入所生活介護(ショート) | 〇 | 〇 |
短期入所療養介護(ショート) | 〇 | 〇 |
特定施設入居者生活介護 | 〇 | 〇 |
住宅改修 | 〇 | 〇 |
福祉用具貸与 | △ 一部制限あり | △ 一部制限あり |
特定福祉用具販売 | 〇 | 〇 |
特別養護老人ホーム | × | △ 原則、介護3以上 |
介護老人保健施設 | 〇 | 〇 |
介護医療院 | × | 〇 |
(介護予防)小規模多機能型居宅介護 | 〇 | 〇 |
地域密着型特定施設入居者生活介護 | × | 〇 |
(介護予防)認知症対応型共同生活介護 | △ 支援1は× | 〇 |
(介護予防)認知症対応型通所介護 | 〇 | 〇 |
夜間対応型訪問介護 | × | 〇 |
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | × | 〇 |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | × | 〇 |
看護小規模多機能型居宅介護 | × | 〇 |
地域密着型通所介護 | × | 〇 |
介護認定1で一人暮らしシュミレーション
では私が実際に担当している介護認定1の方は、どのような介護サービスを使って一人暮らしを実現しているか発表させてもらいます。
尚、それぞれの家族構成や病気、体の動きなどもあるので、再現性がないことだけは了承ください。
事例①
こちらが1週間のスケジュールです。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
介護保険 | デイ | 訪問介護 | デイ | デイ | デイ | ||
市独自サービス | 配食 | 配食 | 配食 | 配食 |
デイサービスの目的は「食事」「入浴」「交流」。
訪問介護の目的は「買い物」「調理」。
一人暮らしなので、一番のキーワードは「食事」です。
家事と溺死の危険のため、自宅で調理と入浴はやらないように組んでいます。
事例②
こちらが1週間のスケジュールです。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
介護保険 | 訪問介護 | 訪問介護 |
訪問介護の目的は掃除と調理です。
その他の曜日は家族が宅急便で食材を届けています。
高齢者世帯でも、「食事」がキーワードの事例です。
介護認定1で入所できる施設
一人暮らしだと介護施設へ入所してくれれば、家族は安心しますよね。
みなさんが、まず始めに思いつくのは特別養護老人ホーム(特養)です。
だけど、特養は介護3以上でないと入所できず、介護3で入所することはほぼ難しいほど待機者が多いのです。
介護認定1でも入所できる施設は以下の通りです。
介護付き有料老人ホーム
特別養護老人ホームの民間バージョンだと考えてください。
一日を通して介護を受けれるので、生活には困ることはありません。
ただし料金が少し高いのが難点です。
住宅型有料老人ホーム
見守り付きマンションを借りるイメージです。
介護を受けたいときは、デイサービスや訪問介護などの外部のサービスを使います。
要介護1や2など、ある程度体も動き、認知症もそこまで進んでいない人にはピッタリと言えます。
グループホーム
認知症の人が少人数で生活する施設です。
少人数なのでスタッフの対応が手厚いことが魅力です。
「認知症」の診断が必要です。
(番外編)「老人保健施設
病院と自宅の中間施設としてリハビリを行なう施設です。
医療が充実していて魅力なのですが、入所と同時に退院支援が始まります。
長く入所できる施設ではありません。
まとめ
介護認定1でも一人暮らしはできます。
もちろん「要介護」というところから、何らかの支援が必要です。
一人暮らしが出来ても、家族は内心はドキドキ。
そんな家族にケアマネとしていつも伝えていることは、
「施設に入所しなくてもよいです。だけど見学にだけは行っておいてください。」
かならず伝えます。
「どうしようもなくなった時は施設がある」という逃げ道を確保しておくだけで、いくらか心が楽になるからです。
そして介護認定1で一人暮らしということは、一人暮らしが確実にできなくなる将来が近いためです。
おしまい。